労働法の教科書的には
先日、ネットサーフィンしていたらこんな記事を見つけました。
全商連[全国商工新聞] 金融庁が保険販売規制強化 再編迫られる代理店
保険代理店で働く「委託型募集人」を2015年3月末までに廃止するというものです。
その理由は、保険会社から保険代理店に販売委託したものを、さらに保険代理店が募集人に委託するのは保険業法275条が禁止している「再委託」にあたると金融庁が判断したためだそうです。
記事自体は2014年6月23日付けとのことなので、業界的にはすでに周知の事実なのでしょうが、僕は恥ずかしながらつい先日知りました。
さて、労働基準法の最重要テーマのひとつに「労働者性」というものがあります。
労基法の適用により保護される人は、いうまでもなく「労働者」なのですが、その「労働者」の定義が労基法第9条にあります。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業所又は事務所(以下、「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
この定義がなかなか厄介で、この場合はどうなんだ、あの場合はどうなんだ、と長年様々な事例が検討されてきました。
その事例の中で労基法の教科書にほぼ確実に登場するであろうものが、「委託」との関係であり、その代表例が保険代理店の販売員です。
そこで保険外交員の労働者性については
1 所属会社との契約は委任とする
2 保険外交員はその成績に応じて受任事務の処理経費及び報酬を受けることができる。
3 保険外交員の名称は会社により嘱託、賛助員又は外務嘱託等の名称を用いてもよいが、職員と紛らわしい名称は用いない。
4 所属会社は保険外交員の労働の時間及び場所を制限することはできない。但し委任契約によって募集地域を委任することは差し支えない。
という取扱の場合は、労基法上の労働者とはみなされなかったようです(昭23.1.9 基発第13号)
まぁ、そもそも論として「たとえ保険外交員と称する者であっても実質上労働関係が存するとみなされるときには、法の適用がある。」とされているのですが、今回は形式上でも実質上でも委託という形態を禁止するとのことなので、今後は保険外交員は基本的に「法の適用がある」とみていいのでしょう。
労働法の教科書も変わるのでしょうか。